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レンタルスペース業界のコロナ回復と2021年の成長予測

<2020年12月2日配信>

 

日本では2020年1月からコロナウイルスの新規感染が広がり、4月に緊急事態宣言が発令され、自粛要請や3密回避により人々の行動は大きく制限されることとなり、飲食・小売・宿泊・製造など多くの業界が大きな経済的ダメージを負いました。

 

当然、レンタルスペース業界も同じく大きな深手を負い、2月から予約キャンセルが急増し、3月には新規予約が止まり、開店休業といえる状態にまで需要が落ち込みました。

 

  • レンタルスペース業界はコロナ禍からどの程度回復できているのでしょうか。
  • 2021年はどれ程の成長を見込むことができるのでしょうか。

 

本記事では、

3つのデータから現状の確認、2021年の推察をしていきたいと思います。

 

  1. 検索ボリュームから関心度の変化を見る
  2. 大手予約サイトの訪問者数推移からゲスト需要を見る
  3. 上場企業のIR資料から業績推移と予測を見る

検索ボリュームから関心度の変化を見る

Google Trends(https://trends.google.co.jp)では、特定キーワードの検索ボリュームの推移から人気度の動向を調べることができるマーケティングツールです。人気度は数値0〜100で表され、100の場合は人気度が最も高いことを示し、50の場合は人気度が半分であることを示します。

 

▼キーワード「レンタルスペース」で調査

 

最も人気度が高い時期:2019年12月15日〜21日 / 数値100

この時期はクリスマスパーティー、忘年会、全社集会など、ゲスト需要が1年で最も高まるハイシーズンです。年間を通した月間平均売上を50とすると、12月は80〜150とレンタルスペースのホストにとっては忙しいものの、売上を大きく伸ばすことができる楽しみな時期でもあります。

 

 

最も人気度が低い時期:2020年4月26日〜5月2日 / 数値26

緊急事態宣言が発令され、解除される前のゴールデンウィークにあたる時期です。イベント中止、外出や帰省の自粛など、あらゆる行動が制限され、土日祝日はたくさんの人で賑わう渋谷、新宿、六本木などの繁華街がゴーストタウン化したほどでした。

 

 

5月25日の緊急事態宣言解除後、最も高い時期:2020年8月16日〜22日 / 数値84

6月から商談、研修、撮影などビジネス系利用を中心に新しい予約が徐々に入るようになり、8月に入って同窓会や女子会、オフ会などのパーティー系利用の回復が見られるようになりました。

 

 

直近:11月22日〜28日 / 数値78

緩やかながらも継続的に回復しています。

例年のこの時期はクリスマス・忘年会などによりハイシーズンに突入するものですが、コロナウイルス第3波の影響は色濃く、コロナの感染状況などの様子を見て、利用日の直前に予約をしようと考えているゲストが多いと想定され、例年よりも予約は低下すると考えられます。

 

 

大手予約サイトの訪問者数推移からゲスト需要を見る

SimilarWeb(https://www.similarweb.com)は調査したいWEBサイトのURLを入力するだけで、そのサイトの訪問者数や平均滞在時間や直帰率などの推定データを調べることができます。データがどの程度精緻であるかは定かでありませんが、本記事の主旨のような過去からの推移を把握するためには有効なツールです。

 

▼スペースマーケット

 

訪問者数

2020年05月:530,000

2020年10月:863,790162.9%増

 

 

▼インスタベース

 

訪問者数

2020年05月:310,000

2020年10月:528,470170.4%増

 

 

▼スペイシー

 

訪問者数

2020年05月:110,000

2020年10月:156,330142.1%増

 

 

スペースマーケット、インスタベース 、スペイシー、いずれも2020年5月と比較し、10月の訪問者数は大きく増加しており、ゲスト需要が回復してきていることは明らかです。

 

個社別で見ると、スペースマーケットとインスタベースは9月から10月にかけての成長角度が高く、年末の繁忙期に向けより高い成長が期待できます。一方、スペイシーは回復ペースは鈍化し、9月から10月にかけてマイナス成長となっています。

 

3社のなかで最も訪問者数が多いスペースマーケットですが、11月からテレビCMの放送を開始し、レンタルスペースを使ったことがないユーザー層の流入が増え、予約数のさらなる増加が期待できます。

 

上場企業のIR資料から業績推移と予測を見る

▼スペースマーケット

 

<取扱高の推移(四半期)>

 

同社の決算説明資料によると、コロナ禍における取扱高の推移は以下の通り。

 

2020年01月〜03月:677百万円

2020年04月〜06月:249百万円(前Q比 63%減

2020年07月〜09月:503百万円(前Q比 102%増

 

緊急事態宣言の期間中である4月〜6月は取扱高が大きく減少したものの、緊急事態宣言解除後にあたる7月〜9月は大幅に回復し、月間利用スペース数については過去最高を記録したと発表されています。

 

同社は2020年10月〜12月の全社総取扱高(※)について、2019年と比較し、1.2%増加と同水準の着地を予想してます。

 

※プラットフォームと法人向けソリューション両方の取扱高の合計額

 

 

▼TKP

 

<TKP貸会議室事業の売上高推移(月次)>

 

同社の決算説明資料によると、コロナ禍における貸会議室事業の実利用売上推移は以下の通り。

 

2020年01月:996百万円

2020年02月:852百万円(前月比 15%減

2020年03月:483百万円(前月比 44%減

2020年04月:1,039百万円(前月比 115%増

2020年05月:1,352百万円(前月比 30%増

2020年06月:1,578百万円(前月比 16%増

 

2019年3月〜2020年1月において、月次売上高の昨年対比で常にプラス成長を続けていた同社ですが、イベント自粛要請などの影響により、大型宴会場を中心に予約が減少し、最大の繁忙月で30億円超の売上高(キャンセル料売上含む)を見込んでいた2020年2月は見込みを大きく下回る結果となっています。

 

緊急事態宣言解除後、ウェビナー・試験会場などの利用、コロナ対策用備品のオプション需要増などにより、2020年8月においてはトータル売上が前年を上回り、キャンセル料を除いた実利用売上は着実に回復しています。

 

ようやく昨年対比と同水準に

今回、キーワード検索ボリュームのトレンド、大手予約サイトの訪問者数推移、上場企業のIR資料を見てきました。いずれのデータもコロナ禍からの回復を確認することができました。

 

ただし、レンタルスペース市場はまだまだ新興市場であり、コロナ禍の影響を受けるまでは非常に大きな成長を続けていたことを踏まえると、成長角度に対して未だ大きな差があり、本来あるべき姿には程遠いと言えるでしょう。

 

2021年は”リモート”需要を取り込み、再成長へ

これからのレンタルスペース市場は、従来型ビジネスの撤退・縮小が進み、新しいゲスト需要を取り込んだビジネスが誕生、拡大していくと考えられます。

 

従来型ビジネスの撤退事例として、レンタル収納用スペース「ハローストレージ」を展開するエリアリンクは、「ハロー貸会議室」という貸会議室事業を展開していましたが、”対面での会議、集会等の減少”、”オンライン会議システムの急速な普及”などを考慮し、2020年12月末を目処に貸会議室事業の終了を発表しました。

 

一方、リモートワークを導入する企業が急激に増加し、それを追い風に売上を伸ばす企業があります。貸会議室大手のTKPは、レンタルオフィスサービス「リージャス」がコロナ禍の影響をほとんど受けず売上高は堅調に推移し、今後も施設数・占有面積の拡大を優先するとしています。

 

その他、スペースマーケットとNTT東日本は業務提携し、ICT設備を全面的に導入した初の取り組みとして平塚駅徒歩1分のビルのうち、2〜5階の4床をレンタルスペースへとコンバートしました。自宅以外で落ち着いて仕事に集中できるスペース、新たなビジネスを生み出す交流スペースが必要とされており、そうした需要に応えるべく、「快適なワークスペース」「高速Wi-Fiによる安定した通信環境」「WEB完結の申込・支払い」「自分のスマホで施錠・開錠」を特徴としたレンタルスペースを新規オープンしました。

 

 

コロナ前は、大人数が一堂に会して集まることができるものが求められる時代であり、良い立地で大きなレンタルスペースを提供できる企業が大きな売上を獲得することができました。

 

しかし、2021年以降のアフターコロナ時代では、ニューノーマルと呼ばれる新しい習慣が確立され、各社がレンタルスペースの在り方・存在意義を再定義し、これまでとは異なるサービス価値を提供しなければなりません。

 

  • ZOOMやTEAMSなどを使い、周囲の目を気にせずオンライン会議ができる個室
  • 初期費用をかけずに月単位で借りることができるオフィス
  • ウェビナーを配信するための設備が揃ったレンタルスペース など

 

“リモート”というキーワードを中心に、ゲスト需要の形は目まぐるしく変化しています。リモート会議、リモートワーク、リモートセミナー(ウェビナー)など、これまでにない新しいスペースの利用方法が確立され、2021年は現時点では全く想像もできない需要が生まれることでしょう。

 

レンタルスペース業界がニューノーマルに適応し、再成長するときを楽しみにしています。

 


 

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